燦燦Villa内を歩くと、紫色が鮮やかなナスとカラフルなマリーゴールドが、はたけの土の上でまるで共演しているような姿が目に留まります。 この珍しい組合せに、宿泊されるゲストの多くの方が足を止められます。
一見、珍しく美しいこの組合せには、畑の知恵が込められています。
私たちは、極力農薬に頼らない植物の特性を活かした自然に近い環境を整えています。その中で、病害虫の被害を減らし、健やかな生育を促す方法として「コンパニオンプランツ」や「バンカープランツ」のといった農薬に頼らずに畑の生態系を整えることができる栽培手法を取り入れています。
ナスの栽培環境を整える補助的な植物として知られているのが、マリーゴールドです。マリーゴールドはキク科の一年草で、黄色やオレンジ色の花を咲かせることから、畑の彩りとしても親しまれています。しかし、その役割は見た目の美しさだけではありません。機能的にも優れた空間なのです。
美しさだけでないマリーゴールドの効果

マリーゴールドの根からは「α-エチニオール」という物質が分泌され、土壌中のセンチュウ(線虫)を忌避する効果があります。センチュウによる根のこぶや萎れはナスの生育に大きな影響を与えるため、マリーゴールドを畑に植えることで、土壌環境を整え、ナスの根が健やかに育つ土台をつくることができます。これが「コンパニオンプランツ」です。
さらに、マリーゴールドは「バンカープランツ」としても機能します。バンカープランツとは、害虫の天敵が住みつく場所を提供する植物のことです。ナスの主要害虫のひとつである「ミナミキイロアザミウマ」は、葉や花を食害し、ウイルス病の媒介にも関わる厄介な存在です。この害虫に対して、天敵となる「タイリクヒメハナカメムシ」が知られています。
タイリクヒメハナカメムシは、マリーゴールドの花や葉に住みつきやすく、そこからナスに移動してアザミウマを捕食します。つまり、マリーゴールドを畑に植えることで、天敵の活動拠点をつくり、害虫の発生を抑える自然な防除効果が期待できます。
このように、マリーゴールドはナスの栽培環境を間接的に支える存在として機能しているのです。農薬や化学肥料に頼らず、植物の力を活かすことで、持続可能で環境にやさしい農業が実現できます。私たち燦燦Villaのはたけでは、こうした植物の役割を観察したり、実際に植え付けや収穫を通じて学ぶことができます。
私たちは、自然のしくみを知り、植物の力を信じることは、農業における大切な学びのひとつだと考えています。 燦燦Villaでの体験を通じて、畑の中で起きている小さなしくみに気づくことが、自然との調和を考える第一歩になれば、嬉しいです。






