












農のある風景と日常が交わる空間を目指して計画した。
建物は、自然素材である炭化コルクによる「厚みのある鉤型」のボリュームと、立体的に積み上げられた「鉤型の畑の窓」という、異なる性質をもつ二つの建築的要素からなる。
北と西の隣接棟や通路に対しては、視線を遮るように諸室を積層し、必要な機能を集約しながら、複数の床レベルや天井高を操作することで、空間に起伏と奥行きを与えた。移動の中で風景の変化や光の濃淡を感じられるようになっている。
一方、南と東に向かっては、畑や果樹園とつながる開かれた居場所を設けた。格子窓や障子窓、棚窓、角見窓など、用途や視線の高さに応じた多様な窓を設け、それぞれが居場所としての機能も果たしている。これらの窓は、風景を切り取るだけでなく、農と暮らしが自然に交わるための装置でもある。
小さな建築の中に多様なスケールと自然との関係を宿すことで、農とともに過ごす時間を豊かに支える宿を目指した。
株式会社オンデザインパートナーズ 建築家 西田 司+長堀 美季+伊藤 健吾